続々・140字SSにチャレンジした記録 - 4/9

 マサキ、敵の増援! 精霊レーダーで索敵をしていた使い魔たちが声を上げる。右に展開だ、軸をずらすな! 足並みを揃えて移動しろ! マサキは即座に声を張り上げて指示を飛ばした。既に自陣は深い所まで攻め込まれ、各所で戦闘が発生している状態だ。今勝手な動きをされては、そこを一極集中と叩き潰されかねない。敵も胡乱ではないのだ。個別に一機、一機と墜としにくる彼らとの戦いは、如何に自陣を厚く保てるかにかかっているのだ。だというのに、陣の中央より飛び出した青き機影。彼は真っ直ぐに右方に出現した敵の増援へと単機で突っ込んでゆくではないか。てめえ、勝手な動きをするんじゃねえよ! マサキは声を荒らげた。あなたの指示を聞く謂れはありませんね。通信モニターの向こう側で、涼やかな面差しが平坦に言葉を紡ぐ。私はあくまであなたに協力しているだけの立場ですよ、マサキ。早くも予定戦闘地域に到達したようだ。あっという間に敵の弾道弾に晒され姿が霞むに至った青銅の騎士グランゾンに、だったらせめて――、と、マサキは言葉を継いだ。だったらせめて俺がそっちに着くまで待て! そして味方に自分が抜けた位置を埋めるように頼むと、最大出力で白亜の機神サイバスターを右方へと。マサキは一直線にはしらせていった。

140文字で書くSSお題
kyoさんは『声を張り上げる』をお題に、140字でSSを書いてください。